にゅーぽじ 〜中庸的に本を読む〜

主に本の紹介としょぼいイラストをかきなぐるぶろぐ

知らない人に出会う (キオ・スターク:2017年7月)

TED本(動画はページ下部にあります)。

知っている人とのコミュニケーション術は数あれど、

知らない人と積極的に話そう!というコンセプトの本はあまり無いのでは。

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初めにまとめ

儀礼的無関心とは、社会性パッシブスキルである。

・TPO*1をわきまえて、三者を介すると相手は緊張しない。

・見ず知らずの人に話しかけるのがうまい人はほぼ全員が褒め上手

・逆に他人からの話かけられやすさを狙うのもアリ。

 

 

儀礼的無関心

公共の場で見知らぬ人同士が一定の距離まで近づくと、二人は互いをチラッと見て、フイッと目を逸らす。この一連の動作には『あなたがこの場所に居ることを認知しましたよ・あなたには干渉しないし、危害を加えるつもりもないですよ』という2つの意味を含んでいる。人間は動物であり、自身を守るための本能が無意識に働いている。この動作が発露するのは危険を冒すよりは恐れたほうが容易だからでもある。年端もいかない子供が知らない人によく話しかけるのは、良くも悪くもこのスキルが未熟だからだ。

 

三者を介する:

特に目立つものがなく、人通りも少ない場所で急に声をかけられたら誰だって警戒する。そういう場所では少し距離をあけて『ちょっと、すいませーん』『あっどうもー』等のクッションを使いましょう。なにかのイベントで人だかりができていたり、観光名所や目をみはるオブジェ等があると、その感想を自分から伝えたり質問をすることによって会話をスムーズに始められる。自分と、話しかける相手、その間に第三者を置くトライアングルの位置関係がポイント。

 

褒め上手:

見知らぬ人がゆえに外面的なことしか褒められないが、例えばベビーカーの赤ちゃんを『可愛いですね』と伝えたり、犬種を尋ねてその毛並みの良さを讃えたりすることは、少なくとも主人に悪い気はさせないだろう。身につけているものが似合っている、と言うのは常套手段だが、特に個性的ではない人の身なりを褒めるのはあまり宜しくない。没個性のファッションは『目立ちたくない』という気持ちの表れであり、それを無理に話題にあげると嘘くささを誘発して怪しい人間になってしまう。あくまで相手に”特徴的な何か”がある場合に有効だろう。

 

話しかけられやすさ:

周囲から浮いた服装をしている、犬か赤ん坊を連れている、珍しい型の自転車に乗っている、スーツケースを引いている、立ち止まって何かを見ている、歌っている、微笑んでいる、食べている、待っている、等をしていると声がかけられやすい(と書かれているが、日本で当て嵌まるかは微妙なところ・・・)

 

 

エジプト人は、見知らぬ人を『自分が知り得ない情報をもたらしてくれる付加価値の高い存在』とポジティブに捉える傾向が強く、旅先で声をかけられると家まで招待される可能性が高いらしい(それに付いて行くかは自己責任笑。)

内向的な人は、知人と話をするより、見知らぬ人と話をする方が後々の人間関係を気にしなくていい分オープンになれる。ダンバー数によると、関係を維持できる認知上限は150人ぐらいが限界だという。つまり日本国内だけでも99.9998%は赤の他人なのだ。こうした行きずりの人々とその場限りの会話を交わすことに殊更臆病になる必要があるだろうか?

パーソナルスペースに土足で踏み入るようなことはしてはいけないけど、ドアをノックするくらいはしてもいいのかな、この本はそんな気持ちをもたらしてくれる。エジプト人に習うべし。

 

 

 

おわり

 

*1:TPO:時(time)、所(place)、場合(occasion)のこと。TPOをわきまえた服装を〜といった表現が多い